今でも蒸気機関車は人気があり, 各地で復活されているが, その構造はあまり理解されていないに違いない.
簡単にいってしまえば, 機関車の左右の前方につけた2個のシリンダ(気筒)の中にピストンを入れ, ピストンの両側から交互に蒸気を補給してピストンを前後に動かす. ピストンの往復運動を主連棒で繋ぎ, 動輪を回転して機関車を進める. ピストンがどちらかの端に寄っていると, 蒸気の補給が出来ず, 死点といって力が出せないが, 反対側のピストンが最も力の出る中央にいるように, 左右のピストンの位相を90度づらせて配置してある. このことは, 鉄道博物館で実物の機関車を見ると確認出来る.
ピストンの前後に交互に蒸気の補給をしているのが, シリンダと並んだ蒸気室で, その中に滑り弁があり, これが蒸気室の中を前後に滑りながら, 蒸気をピストンの一方に送り込む.
Walschaertの走り装置の図はここにあるので参照されたい.
滑り弁は, 動輪に動力を伝える主連棒と90度づれたエキセン棒から, 逆転装置を経由した弁棒で押し引きされて運動する. この辺の装置は大変に込み入っているから, 説明は省略!
ところで, 表題の3シリンダ機関車は, 2つのシリンダでは力不足の時, 第3のシリンダを両シリンダの中央に搭載し, 合わせて3本の主連棒で動輪を駆動する方式である. 動輪軸の中央はクランク状になっていて, そこに中央の主連棒が接続されている.
問題は, 左右の動輪のエキセン棒のようなものが, 中央のクランクからも出ているかということだが, そういう複雑な走り装置にはなっておらず, 中央のシリンダの弁の制御は両側の弁の制御から構成していたというのが前回のブログであった.
下の図を見て欲しい. Cylinder AとCylinder Bと書いたのが, 両端のシリンダの蒸気室で, 左(機関車の後方)から弁棒が入り, 途中に滑り弁があり, 弁棒の延長が右方に突き出している. 機関車の先頭にAOD, BDCのような梃子があり, 支点AはCylinder Aの弁棒の先に, 支点BはCylinder Bの弁棒の先に固定されている. 梃子だから, 図で左右に揺れると支点の上下移動もあるはずだが, 今は各支点は左右にだけ動くとしている.
支点Oは固定点である. またOD=OA/2, つまりAが動くとDはAの半分の振幅で逆位相に動く. そのDを支点として, DB=DCの梃子があり, CがCylinder Cの弁棒になっている. そうすると, CはAとBが120度の位相差で動くと, さらに120度の位相差で動き, 3番目の滑り弁が望み通りに動くのである.
このアニメーションがここにある.
アニメの下でくるくる回る3芒星は, 120度の位相で回転することを示す.
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