2016年3月1日火曜日

菱形六十面体

菱形六十面体についてはこれまで何度もこのブログに書いた. 夫々の菱形が黄金比であることは, MathWorldにそう書いてあったのを鵜呑みにしたきらいがある.

今回はそれを確かめてみたい.

下の図は正十二面体である. 中心を通る赤, 緑, 青の線はx, y, z軸を示す. それぞれの軸は正十二面体の30本ある稜線のうち6本の中央を通過する. 次の図との関係で偶数だけがついているが, その頂点を持つ正五角形で座標を考える.


頂点間の距離, 稜線0, 2の長さを2とすると, 正五角形の対角線8, 4の長さは2φ. 従って4の頂点の座標は(φ, φ, φ). それを基準に他の座標も分かって, 1は(φ2, -1, 0);2は(φ2, 1, 0); 6は(1, 0, φ2); 8は(φ, -φ, φ)である. (1のx座標は中心から0までの距離と, 中心から4までの距離が等しいことから計算できる.) この正五角形に5個の菱形を作ったのが下の図の菱形六十面体だ.



これをx軸の方向から撮影した写真がこれである.



写真では視差があるから, 注目している正五角形のついて正確な図にしたのが次の図だ.



ちょうど1のところをx軸がこちらへ向かっている. その両側へ1離れたところに02が来る. また1から真上に行ったところに中心10があるわけだが, その高さは現時点では未定.

さて菱形は真上から見れば菱形であるが, 少し横から見れば菱形に見える方向も皆無ではないものの, 一般には菱形に見えない. しかし平行四辺形であるのは確かである.

従って0,1,10,9の菱形, 1,2,3,10の菱形を考えると, 0,91,3の辺は1,10の辺と平行である. また9,100,1と平行なども分かる.

すると8,75,40,1などに平行である. 一方 10,5, 6,7の菱形は対角線の方向から見ているから菱形のままであり, 10,55,6の長さは等しい. 5, 6の高さの差(φ2-φ=1)は既知だから, 10の高さも確定し, 計算するとφ-1=1/φである. 5,4の幅が1だから, 5のy座標も1/φと決まる.

ところで残りは奥行きである. 2, 3 の辺は, 横から見ると, 正面図の6, 5の辺に相当していることが分かる. 従って3の奥行きが分かり, 3, 4 がz軸に平行なことも分かる. 従って10, 5, さらに5, 6もz軸に平行だったことも分かった.

つまり正面から見た菱形10,5, 6,7は真の形であった.

という次第で菱形の縦横比は1:φであったわけである.