2010年12月25日土曜日

微分解析機

今回は微分解析機といっても, トルクアンプ, 日本語では回転力増幅器の, それも図の話である.

微分解析機の積分機の出力は, 摩擦で生じる微少な力なので, これで他のものを駆動することは出来ない. ところがNewmanにより, トルクアンプが発明され, それによって微分解析機は実用になった.

トルクアンプは, 下の図のような構造である.



右のinputの軸の回転を, 左のoutputの軸から力を増幅して取り出すのである. その間にロープを書けたドラムが2組あり, ロープの端は, 入力と出力軸に取りつけたT字状のレバーの先に固定されている. ドラムは両端のプーリーにかけたベルトで, 矢印の方向に, 逆方向に回転している. 入力軸が回転しない時は, ロープはドラムの面を滑っている.

今, 入力軸が, 右に回転したとする. そうすると, 下のT字状のレバーが持ち上がり, 左のロープがドラムの上で締まり, ドラムとの間に摩擦が生じ, 上のT字状のレバーが押し下げられ, 出力軸が入力軸と同じ方向に回転する. 回転角が同じになれば, ロープは弛み, 再び滑り出す.

入力軸が反対に回る場合は, 右のドラムの摩擦が生じ, 出力軸はやはり入力軸と同回転する.

つまり, 回転するドラムが動力になり, 入力の微少な力を増幅するのである.

こういう仕掛けは船の碇を巻き上げる装置にもあるらしい.

さて, 上のような図で説明したが, 私としては, ロープを直線で描いたのが気に入らないのである. 図はなるべく正確に描きたいというからには, このようにドラムの縁で光の反射のような図はだめである.



そこで考えたのがこの図である. 上と下のT字状のレバーにロープが繋がっている点をAとEとする. 図の円はドラムの断面である. ロープは, AからBに至ってドラムに接し, BCDFBCDとドラムを1回とすこし回り, Dから離れてEでもう一方のT字状のレバーに辿り着く. 先ほどの図は, これを左から見たものだ. そうすると, ロープ上の点は, Aから下がり, ドラムの円の右半分を上がり, また下がるように見えるはずである. また左右の座標位置は, ロープの長さに比例して右へ移動するはずである.

その移動の様子を, 半径の右の, 点の列で示す. 赤はロープのAからBに対応する. 緑はBCDFBCDに対応, 最後の青はDからEである.

そういう解釈で, 最初の図を描き直すと下の絵になる.



ざっと見ると最初の図と左程違わないが, ドラム回りのロープは本当らしくなったのではないか.

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