2008年7月2日水曜日

Lisp 50歳

織田信長の 人間五十年 下天のうちを比ぶれば 夢まぼろしの如くなり は有名だ. ところで最近計算機のまわりで50年を迎えるものが目立つ.

パラメトロン計算機 PC-1 は今年3月26日に完成50年を祝った. 来年1月のプログラミング・シンポジウムは第50回だ(49年ということ). 同じく1960年に設立された, 情報処理学会も50周年の事業を準備中と聞く.

ところで今度は本年10月20日に, Lisp50歳の誕生日を祝うというニュースが来た. 計算機に比べて, プログラム言語はいつが誕生日か判定が難しいところだ. 上のニュースによると, 1958年10月にMcCarthyが発表した論文にLISPという名前が始めて使われたとある. 20日というのは, 丁度そのころOOPSLAが開催されているかららしい.

McCarthyのLispの論文といえば, Recursive Functions of Symbolic Expressions and Their Computation by Machine, Part Iが知られていて, CACM, 1960年4月号に載ったもので, McCarthyのウェブページにも, This was the original paper on LISPと書いてある. これはそのウェブページからダウンロード出来る. しかしこれが1958年10月に出た論文と同じかは不明である. 似たような論文がいくつかあるからだ.

1958年の11月頃, 私はMITを訪れた. その折, MITに滞在中の藤村先輩から面白いからといってMcCarthyの論文を渡された. それがひょっとして1958年10月の論文かも知れないと思っている. (CACMに載った論文の紹介は, 情報処理学会誌44巻3号にある.)

最近あまり聞かなくなった, Algolも最初に発表されたのは, 1958年であったから, 同様にお祝いされてもいいはずだが, すぐに改良版Algol 60としてより広く知られるようになり, Algol 58の名前を覚えている人は少ない. そのAlgol 60も今や風前の灯火で, AlgolはJISからも抹殺された. しかしAlgol 60の精神はScheme(の特にRevised Report)に受け継がれている.

OOPSLAの会議では「next 50 years of Lisp」についても議論するという. 50年後も夢幻にならずに使われているだろうか.

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