2014年6月8日日曜日

鶴亀鴉算

小学生のころ鶴亀算を習った. 例えば鶴亀合せて10匹. 足は合せて30本. 鶴と亀はそれぞれ何匹か. 全部鶴とすると足は20本. 残りの10本は鶴より2本足が多い亀によるから, 亀は5匹. 従って鶴も5匹. 足の本数を検算すると2*5+4*5=30.

矢野健太郎先生がアメリカの子供にこのような話をしたら, 鶴と亀とは見ただけで分り, 足だってまったく違うという反応だったらしい. そこで矢野先生は2ドルのケーキと4ドルのケーキを合せて10個買い, 合計を30ドルにするには2ドルと4ドルのケーキを何個ずつ買うかと話したそうだ.

小学6年の私は近くに住む中学1年の先輩と話をしていた. 先輩は「鶴をx, 亀をyとすると, x+y=10, 2x+4y=30. これを解くとx=5, y=5が得られる」と得意そうに話した. へぇーすごいなぁと思ったが, 1年後には私もその先輩と同じ中学(詳しくいえば7年制高等学校尋常科)に入学し, 同じように解けるようになった.

さて東京理科大学近代科学資料館で, 6月19日から8月8日まで「計算する器械たち —アナログコンピュータ展—」が開催される.

それに門脇廉君(現 九州大学)が作った機械式アナログ計算機の「三元連立方程式求解機」も展示される. 私は展示準備中のその機械を見たが, 非常に美しく作られていて感動した.

企画展開催中に説明を担当する理科大の学生さんたちと三元連立方程式の例題を作って解いてみたりしていたが, 見学に来た小学生に連立方程式の意味を教えるにはどうするかということになった.

そこで私が考えたのが, このブログの始めにあった鶴亀算であった. でもそれは二元であるが, もう1種類の変わった動物を登場させようと思った.

それがサッカーの3本足の鴉である. ボールを掴んでいるのが3本目の足だ.



これが三元連立方程式求解機用問題.

t, 亀k, 鴉cとする. ただし鴉はサッカーJFAのシンボル 3本足のものである. 頭の数が6, 羽の数が10, 足の数が16のとき, 鶴, 亀, 鴉それぞれ何匹か.

つまり連立方程式
t+k+c=6 (0)
2t+0k+2c=10 (1)
2t+4k+3c=16 (2)
を解くわけだ.

早速三元連立方程式求解機のシミュレータでやってみる.



4枚のプレートがあり, 左からt, k, c, 定数に対応している. また制約するテープは内側から順に上の式(0), (1), (2)に対応している.

プレートの傾斜は右端の定数のを10°にしたので, 左からの傾斜は31.395°, 10.0°, 20.322°,10°である. つまり(t, k, c)=(3, 1, 2).

この図で分かるのは定数項の値が係数に較べて大きいので, 右端の定数のプーリーが分散しているのに対し, 係数の方のプーリーがごちゃごちゃと固まっていることである.

これを解決するには上の連立方程式の変数のそれぞれから1, または2を引くのである.

1を引くと
t+k+c=3 (0)
2t+0k+2c=6 (1)
2t+4k+3c=7 (2)

2を引くと
t+k+c=0 (0)
2t+0k+2c=2 (1)
2t+4k+3c=-2 (2)

2を引たので解いたのが下の図である. 各プーリーが分散している.


傾斜が左から10°, -10°, 0°, 10°になり, (t, k, c)=(1, -1, 0)であるから, 鶴が3, 亀が1, 鴉が2と判明した.

却って難しくなったかしら.

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