2013年4月12日金曜日

微分解析機

前回のブログの微分解析機の絵は, 機素だけをつなげた, いわば回路図であった. 昔の微分解析機の論文を見ても, 解法にはこういう図しか示していない. 前回の接続図を佐々木達治郎著「計算機械」にある微分解析機の図解の絵のように描くと下のようになる. (情報処理学会誌Vol.52,No.3「微分解析機」の解説で使ったPostScriptのプログラムに手を加えた.)


トルクアンプのベルトは怪しいが, 佐々木の原図に従っている.

図の右半分にあるのが縦横にシャフトの並ぶ連結装置である. 解くべき微分方程式に従って, この部分は大々的に組み替える. 積分機や出力卓などと接続するクロスシャフトを持つ大小の ベイがバスボックスを介して配置されている. (ここでの説明に必要なベイまでしか描いていない.) 各ベイではクロスシャフトの上にバスシャフトを直角に置く. そのうちのある縦横軸対は, はすば歯車で連結される.

ベイとベイの間のバスボックスには数本のスタブシャフトが貫通しており, 隣り同士のベイのバスシャフトを連結する役目をはたす. スタブシャフトは普段は外さないらしい.

バスシャフトは両端にカプラーがはめてあり, カプラーの2本のネジを締めることでカプラーを介してバスシャフトとスタブシャフトは同時回転する. このネジを緩めるとカプラーをベイの内側の方へ滑らせて, バスシャフトを外すことが出来る.

積分機は今回の図では, 円板台に乗っている円板の方の位置が変るように描いた. 円板台を動かすのは平歯車n0を介している被積分関数軸である. この軸を回転すると, 円板の4時の方向に描いてあるナットにより, 円板台が左右に動く.

積分機0では回転子は円板の中心から左へ大きく離れているが(y'=1を示しているつもり), 右ネジに切れている被積分関数軸を連結装置側から見て反時計回りに回転すると, 円板は左へ移動し, 回転子と円板の中心の距離は減少する.

さて3本のバスシャフトは左下の出力卓でxに対するyとy'の曲線を描くように接続されている.

出力卓の上の方の3本の横軸は, 中央の右ネジのが水平移動軸で, xのバスシャフトで駆動され, 軸の左寄りにある滑り体が左右に動く. 滑り体にはyとy'の回転で垂直移動軸に取り付けた鉛筆を前後に動かすようにギアが付いている. 垂直移動軸は離れて2本あるが, 鉛筆は内側に設置され, 2つの鉛筆の先端のx座標が揃うようになっている.

ただ出力卓で描かれる2本の曲線が交差するとき, なにが起きるか, 衝突をどう避けるかがまだよく分らない. 例えば鉛筆を下の図のように取り付ければ, かすり傷かニアミスですれ違えるかも知れないがどうかな.


両移動軸のピッチが1ミリ, 描画可能領域が縦横それぞれ500ミリだとすると, 2πまで移動で, 前回の計算ではxは1600回転, yとy'は正負方向に460回転くらいするので, h0, h1, h2の平歯車はそれぞれ1/4,1/2,1/2に設定するのがよさそうである.

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