2010年5月16日日曜日

菱形六十面体

Wolfram Alphaというすごいサーバーがある. これを楽しんでいるうちに, ひと昔前のエイズウィルスの漫画でよく見たような真っ赤なロゴが気になり, 調べたところ, rhombic hexecontahedronであるということが分かった. rhombicは「菱形の」であり, hexecontaは「六十」なので, 日本語では「菱形六十面体」である.

菱形といっても, WolframMathWorldによれば, golden rhombi(rhombiはrhombusの複数形)という, そんじょそこらの菱形ではない.

つまり長短の対角線が黄金比になっているのである. 菱形六十面体は, 正十二面体の1つの正5角形を5つの黄金菱形で構成した凹面で置換えたものであった.


Wolfram Alphaのページ
には展開図があった. そこで早速PostScriptで写し取り, 印刷した紙を切り抜いて多面体を作る. 菱形内の番号は作業用で, 菱形を次々繋げて描いた順が見て取れる.



PostScriptでの描き方だが, 最後に描いた菱形に対し, 上下左右のいづれかの辺の鏡像を作るよう, 4つのサブルーチンを用意し, それを次々に呼び出している. 大きい枝分かれのあるところは, gsaveとgrestoreを使ってバックトラックする.

この図から作った模型が下の写真である.

こういう模型は最後の糊付けが最大の問題で, この模型も実は最後は留めていない.

一旦出来てみると, 意外に飛び離れた菱形が同一5角形のメンバーなことが分かる. 後のために展開図を塗り分けたが, 4色ではどの面に集まるかの情報が不足なので, 正十二面体の展開図にも番号を入れた.




下の図は, 正十二面体1つの面の構成する凹面5角形を考えてみたものである.

角DB'Eは黄金菱形なので, 黄金比φ=1.61に対して2 cot-1(φ)=63.435°である. その一端を持ち上げると, 角DBEは少しずつ広がり, 72°になるわけだ. その時の傾き角を計算すると, 驚いたことに31.7175°であった. つまり側面図のABと平面図のAD'は平行だった. こうして得られたBCは, 中央の窪みからの頂点の高さである. またD,Eの高さはBCの半分である.

そうと分かれば, 凹面5角形が描ける. 次の図は, いろいろな方向から凹面5角形を描いたもので, 左上が真横から, 続いて視点を15°ずつ増やし, 最後の右下は真上から見たものである.



これと正十二面体のプログラムを合わせれば, 菱形六十面体の絵も描けると思うがそれはいずれまたということにしよう.

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