2015年9月10日木曜日

ARMのプログラム技法

前回のブログでCalのプログラムの核心の部分がうまく書けることが分かったので, 全体を書いてみた. やや長いが興味があれば追ってみて欲しい.

プログラム0


行00 .data ここからデータ領域という指示
行01,02 年と月を格納する場所 4バイトずつ
行03 1月から順に次の年初の曜日とその月の1日の曜日の差 12月は31日なので 4週と3日余るが, -3mod7=4のような値のリスト. 以下rsという
行04 各月の長さ. 以下msという
行05〜09 scanf, printfの書式
行10 プログラム部分の開始
行11〜17 除算サブルーチン r0をr1で割り商をr0, 剰余をr1に置く

プログラム1


行19 主ルーチンの入り口, 帰り番地をr8へ退避する
行20 yearを入れる場所をr1へ
行21 monthを入れる場所をr2へ
行22 scanfの書式の番地をr0へ
行23 scanfを呼ぶ
行24 データ領域のベースアドレスをr3へ
行25 yearをr0へ
行26 400をr1へ
行27 除算
行28 400で割った剰余R400をr4へ
以下 R400を100と4で割った商と剰余を求める
行38 100で割った剰余を0と比較
それが0か否かにより, 400と4との剰余をr1に置く(条件つきmov)
行41 r1が0なら閏年(閏年の判定には100で割った剰余R100が0なら400で割った剰余R400が0, 0でないなら4で割った剰余R4が0かで判定できる)

プログラム2


行42〜47 r1=0なら閏年なので, rsの1月2月とmsの2月を修正する
行48〜58 その月の1日の週日(a)は(1+R400-Q100+Q4+rs[月])mod 7
行59 前回のブログのr5の値, 1-a
行60 前回のブログの#6に相当する値, 43-a
行62 前回のブログの#3に相当する値, その月の日数

プログラム3


出力用の値が設定できたので出力に移る.
行63,64 曜日の名を出力
行65 r4は1週間を数えるカウンタ
行66 日付が1より大きいか
行67 そうなら最後の日付より小さいか
行68 日付をr1に置く
行69,70 比較の結果でいづれかの書式をr0に置く
行72 日付を1増やす
行73 週のカウンタを減らす
行74〜76 1週間が終わったら改行しカウンタをリセット
行77,78 最後になっていなければl0へ戻る
行79 lrを戻す
行80,81 プログラムの戻り値を入れて終わる
行82〜87 定数の番地

このプログラムでは, データの場所にはラベルがあるが, プログラムの部分には殆どラベルが見られない. divmodはサブルーチンの入り口, mainはプログラム全体の入り口, あとカレンダー出力のループのl0があるだけである. 従ってジャンプ命令もほとんどない. そういうことではARMのアーキテクチャは気持ちがいいといえる.

このプログラムをRaspberry Piで動かすには,
as -o cal.o cal.s
gcc -o cal cal.o
./cal
で起動し
2015 9
のように年と月を入力すると
./cal
2015 9
 Su Mo Tu We Th Fr Sa
        1  2  3  4  5
  6  7  8  9 10 11 12
 13 14 15 16 17 18 19
 20 21 22 23 24 25 26
 27 28 29 30

とカレンダーが得られる.

このプログラムはhttp://www.iijlab.net/~ew/cal.sに置いてある.

2015年9月8日火曜日

ARMのプログラム技法

1ヶ月ほど前のブログで「数式お絵書き」を書いたのは, 手元のRaspberry PiでMathematicaが動いていたからだ.

Mathematicaも面白いが, Raspberry PiはそのCPUがARMなので, アセンブリ言語でプログラムを書くと, ARMのアーキテクチャがよく分るではないかと, 最近ではもっぱらアセンブリ言語のプログラムを書いている.

「ARM」という単語を最初に聞いたのは, 1995年頃の英国ケンブリッジでであったと思う. ケンブリッジ大学の計算機研究所のWilkes先生を訪ねたのだが, もう大学にもオリベッティの研究所にも出勤されてはいなかったので, オリベッティ研究所の所長のAndy Hopperさんに会って雑談している時, ARMといういいCPUがあるよと言われた. (この訪問のことは, bit 1996年1月号のaleph zeroに書いた.)

昨年8月, 偶然みつけたウェブページのことをツィッターに書いた.
50年ほど前にBCPLを開発したMartin Richardsが「青少年のためのRaspberry Pi上のBCPLプログラミング入門」を書いている(http://goo.gl/rXOKy2 ). 1つの言語に半世紀も情熱を持ち続けるとは見上げたもの. そのうち読んでみたい.
(「青少年のための...入門」と書いたのは, 元の題が「Young Persons Guide to BCPL Programming on the Raspberry Pi」であり, Benjamin Brittenの曲「The Young Person's Guide to the Orchestra」が日本では「青少年のための管弦楽入門」といわれているからだ.)

このツィートの後, 研究所でRaspberry Piを何個か購入し, 使えるようになってきた. またARMそのものにも興味も出てきた.



ARMでプログラムを書くに際して, 最低限の知識は次のようだ.

ArmはRiscだが, 命令幅が32ビットで, 水平型マイクロプログラムの様相を持つ. 16ビット命令のモードもある.

記憶装置とのデータ転送はldr, strだけ.

CMPがCPSR(Current Program Status Register, NZCVビット)をセットするほか, 加減乗算命令でも, addsのようにsを付けてCPSRをセットできる.

命令には, eq, ne, pl, miなど条件を付け, 実行するしないが指定できる.

このようなことを念頭に置いてプログラムを書く. その前後に指定された個数の空白を置き, aからbまでの数字を順に出力するにはどうするか. これはカレンダーのプログラムを書くときに必要になる. 例えば今年の9月のカレンダーは, cal 9 2015 で見ると
% cal 9 2015
   September 2015
Su Mo Tu We Th Fr Sa
       1  2  3  4  5
 6  7  8  9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

なら, 先頭に2個の空白と最後に3個の空白を置き, 1から30まで印字するプログラムを書けばよい. いきなりプログラムではなく, テストプログラムとしては, 例えば前に3個, 後に2個の空白を置き, 1から3まで出力するプログラムは普通ならこうなろう.
(do ((i 0 (+ i 1))) ((= i 3)) (display "   "))
(do ((i 1 (+ i 1))) ((> i 3)) (display i))
(do ((i 0 (+ i 1))) ((= i 2)) (display "   "))
ARMの機能を活用するとこうなる.
.data
        .balign 4      /*4バイト境界を合わせる*/
a:      .word -2       /*出力する整数の初期値 2*/
ret:    .word 0        /*帰り番地の退避場所*/
s0:     .asciz ". *"   /*printfの書式*/
s1:     .asciz ".%2d"
s2:     .asciz "\n"
.text
        .balign 4
.global main
main:   ldr r0,reta    /*帰り番地を一時退避*/
        str lr,[r0]
        ldr r0,aa
        ldr r5,[r0]    /*出力する整数をr5へ*/
l0:     cmp r5,#1      /*出力する最初の数a*/
        rsbgts r0,r5,#3/*出力する最後の数b*/
        mov r1,r5      /*出力する数をr1へ*/
        ldrpl r0,s1a   /*書式0を使う*/
        ldrmi r0,s0a   /*書式1を使う*/
        bl printf      /*printfで出力*/
        add r5,r5,#1
 cmp r5,#6      /*終りの空白が済んだときのr5の値*/
 bmi l0
 ldr r0,s2a
 bl printf      /*書式2で改行を出力*/
 mov r0,#1      /*プログラムの返り値*/
        ldr r1,reta
        ldr lr,[r1]    /*帰り番地を復活*/
        bx lr

aa:     .word a
s0a:    .word s0
s1a:    .word s1
s2a:    .word s2
reta:   .word ret
想定通りの出力が得られる. (空白の様子が分かるように.や*が入っている.)
. *. *. *. 1. 2. 3. *. *
上のプログラムのミソは
l0:     cmp r5,#1      /*出力する最初の数a*/
        rsbgts r0,r5,#3/*出力する最後の数b*/
        mov r1,r5      /*出力する数をr1へ*/
        ldrpl r0,s1a   /*書式0を使う*/
        ldrmi r0,s0a   /*書式1を使う*/
        bl printf      /*printfで出力*/
        add r5,r5,#1
 cmp r5,#6
 bmi l0
のところだ. ラベルがl0:の行ではr5と1を比較, つまりr5から1を引く. r5が-2から0までは結果は負である. 次の行はこの結果が>0ならrsbつまり逆減算で, 3からr5を引き, 最後のsで結果をCPSRに置く. r5が3を超えると負になるわけだ.

次の行でr5を出力パラメータとしてr1へ置き, 前の計算の正負に従って書式をr0に置き, printfを呼ぶ.

r5は最後の数3を超えても増え続け, つまり空白を出力し続け, 6になるとcmpの結果が負ではなくなり, ループから抜ける.

要するに初めの空白部は, r5との比較が負で判定し, 終りの空白はr5と3を逆に引くことで, 範囲外をともに負にしている.

こんなことが出来るのはARMの命令が多様だからであった.

2015年8月16日日曜日

数式お絵描き

前回のブログでこうもりの描き方がすっかり分ったかといえば, まだすっきりしない部分がある. 下の線を描くプログラムの11から15行目が思いのほか複雑なのだ.

この式の構造はこうなっている. 11行目の(1/2)*に掛けられる因子は4つの項で出来ている.
3*Sqrt[1-(x/7)^2]            (楕円)
+Sqrt[1-(Abs[Abs[x]-2]-1)^2] (4つの小楕円)
+Abs[x/2]                    (折線)
-((3*Sqrt[33]-7)/112)*x^2    (放物線)
-3
最初はお馴染の楕円で高さは3にしてある. 次が4個の楕円で高さはどれも1だ. その次が(0,0)で折り返す直線で, 最後がx2の抛物線である.



4個の楕円はx=-4,-2,0,2,4の5個所でy=0である. このうち中央のx=0では, 他の項の楕円の3を足し, 最後の3を引き, 折線と放物線はx=0で0だから, 0のままである.

x=4では楕円は3√33/7, 折線は2, 放物線は16*(3√33-7)/112, それから3を引くが, これは計算すると結局0になる.

x=2のところは面倒になったので, Schemeで計算した.
(define (a x)
 (define (sq x) (* x x))
 (+ (* 3 (sqrt (- 1 (sq (/ x 7)))))
    (abs (/ x 2))
    (- (* (/ (- (* 3 (sqrt 33)) 7) 112) (sq x)))
    (- 3)))

(a 2) => .5094556875135123
(a 3) => .3881737849967646
(a 1) => .3778577420858067
という次第で, 0,±4では0, ±2では0.5くらいになる. 1と3では1.37程度になろうか.



この図を見ると高さの値は微妙に違うようだが, まぁいいか. この図では±4の外側では定義されていないということで, 青線がないが, 前回のフィルタを掛けた下の図では

のように外側の方もよくみるとx軸上に青の線が見える. 高さも2倍になっているのが分かる. これから楕円の下半分を引くと, 思ったとおりの下の曲線が出来る.

ところでこの下の図は, 前回のこうもりの絵とはすこし違っている. 最後のAspectRatio->Automaticをつけなかったのである.



AspectRatioの詳細はまだわからないが, Plot関数では, AspectRatio->Automatic がないと縦横比が黄金比のφになるらしい.

ディスプレイ上で測ってみると, 左右は56ミリ, 上下は33ミリであった.
(/ 56. 33) => 1.696969696969697
確かに黄金比に近いといえなくはない. x軸の0から2と, y軸の0から2の長さは明らかに違う. Automaticを指定した前回のこうもりの絵では, 横:縦は正しく7:3になっている.

黄金比にするような見栄えを工夫するのがAutomaticの機能のように思うのだが, Mathematicaの文化はこういうものか. 前回のSinの図でも, Automaticがないので, 横/縦は1.7くらい. Automaticを追加すると, 縦と横の長さは1:1になり, もっと平べったい, 正確になった. (世の中のSinカーブでは, 前回の図も含めてx=0での勾配が1になっていない図がかなり多い.)

2015年8月5日水曜日

数式お絵描き

Raspberry PiでMathematicaが使えるのはうれしい.

そのアナウンスにこうもりのような絵があった. もちろんMathematicaのPlot関数で描いたものだ.



その描画プログラムも添えてあったので, Mathematica屋の絵を描く方法が分るのではないかと期待してプログラムを解読した. とりあえずは目がくらくらするが,

である.

そもそもMathematicaで標準関数の絵を描くのは簡単だ. "Plot["と書き, 描くべき式を書き, ","で区切り, "{x,-Pi,Pi}"のように変数の範囲を書き, "]"で閉じる.
Plot[Sin[x],{x,-Pi,Pi}]


こうもりの絵のようなのは, 上の線と下の線を{,}で囲み区切ればよい.

Plot[{Sin[x],Cos[x]},{x,-Pi,Pi}]


こうもりプログラムでは, 1行目の"With"から10行目の"]]"までが上の曲線, 11行目から15行目の"2]"までが下の曲線である.

上の曲線のプログラムは"With[{"から w(3行目), l(2,3行目), h(4,5,6行目), r(7,8行目)を局所定義し(8行目の"},"で終る), それらを使い9,10行目の本体で描画する.

w(3*Sqrt[1-(x/7)^2])はこういう曲線だ.

これは要するに長軸(半径)7, 短軸1のx2/49+y2=1なる楕円の, 平方根は正をとるからその上半分を描いたわけである. あとから縦軸を3倍した.

次はl.(6/7)*Sqrt[10]+(3+x)/2-(3/7)*Sqrt[10]*Sqrt[4-(x+1)^2] のような形だ. 下に左右反対のrがある. xで変る項は(3+x)2とSqrt[4-(x+1)^2]で, 前者は斜線, 後者は例によって楕円である.

大きさを合せて合成するとこうなる. 上の図の斜線はxの範囲-7から7まであるが, 下の図では引くべき楕円が定義されている範囲が-3から1までなので, その外の 線は消えている.



4行目のhはこうもりの耳のところで, ( (1/2)*(3*(Abs[x-1/2]+Abs[x+1/2]+6)-11*(Abs[x-3/4]+Abs[x+3/4])))といろいろの斜線を組合せているに過ぎない.

ここまで準備したところで, 上の曲線は-7から-3,-3から-1,-1から1,1から3,3から7の区間をUnitStepで接続する. UnitStep[x]はx<0では0, 0≤xでは1になる関数で, UnitStep[x+3]とすると, -3から右が1になる.

w+(l-w)*UnitStep[x+3]+(h-l)*UnitStep[x+1]+(r-h)*UnitStep[x-1]+ (w-r)*UnitStep[x-3]]

x=-7では4個のどのUnitStepも0だから最初の項wで描きだす. x=-3になるとUnitStep[x+3]が1になり, それに(l-w)が掛るから, wが消えlの曲線を描き始める. x=-1 でlが終りhが始まる. x=1でrに, x=3で(w-r)があるので, rも終り, wが復活して最後を描く.


下の線もなかなか凝っているが, 全体的には上と同じ楕円に, 4個の楕円が組み合わさっている構造だ.
ここで一番主要な線はSqrt[1-(Abs[Abs[x]-2]-1)^2]だ.



すぐ上の図は左からAbs[x], Abs[x]-2, Abs[Abs[x]-2], Abs[Abs[x]-2]-1で, ここでそれぞれの斜線部分に対応して例の楕円が4個できる仕掛けである.



UnitStepの代わりにこちらではバンド幅フィルタのような関数でこの4個の楕円を取り出している. それが((x+4)/Abs[x+4]-(x-4)/Abs[x-4])で, 左がx<-4で-1, -4<xで1, 右がx<4で-1, 4<xで1だから, 結局x<-4で0, -4<x<4で2, 4<xで0という形が得られる.



これで4個の楕円を切り出しておき, それから最初と同じ楕円を引いて下の線が描ける.



勿論面倒なのでは区間の切れ目で位置を合わせることで, Sqrt[33]などはそういう計算の結果であろうが, プログラムの骨組みの説明では無視させて貰った. 面白かった.

2015年7月16日木曜日

SATソルバ

Algorithm7222Dも動くようになった. 充足可能なのには可能にする値を, 不可能なのには`unsatisfiable'を出力する.

こんなにgoto文だらけのプログラムがよく動くと感心するが, それがこの本のアルゴリズムの特徴だ. とにかくプログラムが動くようになれば, その機能が理解できるという期待から, 私はいつも実装に心掛けている.

今回お目にかけるこのプログラムも, 中に説明は書いてないが, TAOCPの記述に忠実に実装してあるので, 本文と読み較べてほしい. もっともその方の説明も分り難いが.

プログラムリストについているのは, Waerden(3,3;9)用のデータである.

(define (and1 n)
 (if (even? n) 0 1))
(define (xor1 n)
 ((if (even? n) + -) n 1))
(define (rsh1 n)
 (fix:lsh n -1))
(define (iverson b) (if b 1 0))

;Waerden(3,3;9)用のデータ
(define n 9) (define m 32) ;waerden(3,3;9)
(define ls '(3 11 19 7 13 19 5 11 17 3 9 15 11 15 19 9 13 17
7 11 15 5 9 13 3 7 11 15 17 19 13 15 17 11 13 15 9 11 13 7 9
11 5 7 9 3 5 7 2 10 18 6 12 18 4 10 16 2 8 14 10 14 18 8 12 
16 6 10 14 4 8 12 2 6 10 14 16 18 12 14 16 10 12 14 8 10 12 
6 8 10 4 6 8 2 4 6) )
(define ws '
(0 0 1 17 2 18 3 19 4 20 5 21 6 22 7 23 0 0 0 0))
(define link '
(0 8 9 10 11 12 0 0 13 14 15 0 0 16 0 0 0 24 25 26 27 28 0 0
29 30 31 0 0 32 0 0 0))
(define start '(96 93 90 87 84 81 78 75 72 69 66 63 60 57 54
51 48 45 42 39 36 33 30 27 24 21 18 15 12 9 6 3 0))

;途中の様子を出力する関数
(define (printnext next h t)
 (let ((ring (list)))
  (define (ploop)
   (if (eq? h t) (display (reverse (cons t ring)))
    (begin (set! ring (cons h ring))
     (set! h (list-ref next h)) (ploop))))
  (ploop)))
(define (printcl j)
 (define (pin x)
  (string->symbol (string-append
   (number->string (quotient x 2))
   (list-ref '("+" "-") (and1 x)))))
 (display (map (lambda (x) (pin (list-ref ls x))) 
  (a2b (list-ref start j) (list-ref start (- j 1))))))
(define (printx xs) 
 (display (map (lambda (x) (if (< x 0) '- x)) xs)))

(define d 0) (define h 0) (define t 0) (define f 0) 
(define k 0) (define p 0) (define b 0) (define l 0) 
(define j 0) (define j1 0) (define i 0) (define l1 0) 
(define q 0)
(define xs (map (lambda (x) 0) (a2b 0 (+ n 1))))
(define next (map (lambda (x) 0) (a2b 0 (+ n 1))))
(define hs (map (lambda (x) 0) (a2b 0 (+ n 1))))
(define ms (map (lambda (x) 0) (a2b 0 (+ m 1))))

(call-with-current-continuation
 (lambda (exit)

(define (d1)
 (list-set! ms 0 0)
 (set! d 0)
 (set! h 0)
 (set! t 0)
 (do ((k n (- k 1))) ((= k 0)) 
  (list-set! xs k -1)
  (if (or (not (= (list-ref ws (* 2 k)) 0))
          (not (= (list-ref ws (+ (* 2 k) 1)) 0)))
  (begin
   (list-set! next k h) (set! h k)
   (if (= t 0) (set! t k)))))
 (if (not (= t 0)) (list-set! next t h))
(d2))

(define (d2) 
 (newline) (if (not (= t 0)) (printnext next h t)) 
 (printx (cdr xs)) ;xsを出力
 (if (= t 0) (exit 'satisfiable)
  (begin (set! k t) (d3))))

(define (ex135 l)
 (let ((j (list-ref ws l)))
 (define (un0)
  (set! p (+ (list-ref start j) 1))
   (un1))
 (define (un1)
  (if (= p (list-ref start (- j 1))) 1 (un2)))
 (define (un2)
  (if (= (list-ref xs (rsh1 (list-ref ls p)))
         (and1 (list-ref ls p)))
   (begin (set! p (+ p 1)) (un1)) (un3)))
 (define (un3)
  (set! j (list-ref link j))
  (if (= j 0) 0 (un0)))
 (if (not (= j 0)) (un0) 0)))

(define (d3)
 (set! h (list-ref next k))
 (let ((f0 (ex135 (* 2 h))) (f1 (ex135 (+ (* 2 h) 1))))
 (set! f (+  f0 (* 2 f1))) )
 (cond ((= f 3) (display (list 'un 
   (string-append (number->string h) "+")
   (string-append (number->string h) "-"))) (d7))
       ((or (= f 1) (= f 2))
        (display (list 'un (string-append (number->string h) 
         (list-ref '(0 "+" "-") f)))) 
        (list-set! ms (+ d 1) (+ f 3)) (set! t k) (d5))
       ((not (= h t)) (set! k h) (d3))
       (else (d4))))

(define (d4)
 (set! h (list-ref next t))
 (list-set! ms (+ d 1)
  (iverson (or (= (list-ref ws (* 2 h)) 0)
               (not (= (list-ref ws (+ (* 2 h) 1)) 0)))))
 (d5))

(define (d5)
 (set! d (+ d 1))
 (list-set! hs d h)
 (set! k h)
 (if (= t k) (set! t 0)
   (begin (list-set! next t (list-ref next k))
    (set! h (list-ref next k))))
 (d6))

(define (ex136)
  (define (ud0)
   (set! j1 (list-ref link j))
   (set! i (list-ref start j))
   (set! p (+ i 1))
   (ud1))
  (define (ud1)
   (if (= (list-ref xs (rsh1 (list-ref ls p)))
          (and1 (list-ref ls p)))
    (begin (set! p (+ p 1)) (ud1))
    (ud2)))
  (define (ud2)
   (set! l1 (list-ref ls p))
   (list-set! ls p l)
   (list-set! ls i l1)
   (ud3))  
  (define (ud3)
   (set! p (list-ref ws l1))
   (set! q (list-ref ws (xor1 l1))) 
   (if (or (not (= p 0)) (not (= q 0)) 
       (>= (list-ref xs (rsh1 l1)) 0))
    (ud5) (ud4)))
  (define (ud4)
   (if (= t 0) (begin (set! t (rsh1 l1)) (set! h (rsh1 l1))
      (list-set! next t h))
    (begin (list-set! next (rsh1 l1) h) (set! h (rsh1 l1))
      (list-set! next t h)))
    (ud5))
  (define (ud5)
   (list-set! link j p) 
   (list-set! ws l1 j)
   (ud6))
  (define (ud6)
   (printcl j)
   (set! j j1)
   (if (not (= j 0)) (ud0)))
 (set! l (+ (* 2 k) b))
 (set! j (list-ref ws l))
 (list-set! ws l 0)
 (if (not (= j 0)) (ud0)))

(define (d6)
 (set! b (modulo (+ (list-ref ms d) 1) 2))
 (list-set! xs k b)
 (ex136) 
 (d2))

(define (d7loop)
 (if (>= (list-ref ms d) 2) (begin 
  (set! k (list-ref hs d))
  (list-set! xs k -1)
  (if (or (not (= (list-ref ws (* 2 k)) 0))
          (not (= (list-ref ws (+ (* 2 k) 1)) 0)))
   (begin (list-set! next k h)
    (set! h k)
    (list-set! next t h)))
  (set! d (- d 1)) (d7loop))))
   
(define (d7)
 (set! t k)
 (d7loop)
 (d8))

(define (d8)
 (if (> d 0) (begin
  (list-set! ms d (- 3 (list-ref ms d)))
  (set! k (list-ref hs d)) (d6))
 (exit 'unsatisfiable)))

(d1)))
このアルゴリズムの出力を, TAOCPにあるのと同じ場所まで書いてみるとこうなる. (プログラムの実際の出力はもっと冗長だが, 不要な空白など手でけしてある.) 左からアクティブリング, xの値, unはユニットになったリテラル(これが同じ変数の正負のリテラルだとバックトラックに入る,) 書き換えた 項を示す.
(1234567) - - - - - - - - - 2+1+3+ 3+1+5+ 4+1+7+ 5+1+9+
(234567)  0 - - - - - - - - 3+1+2+ 3+2+4+ 4+2+6+ 5+2+8+
(34567)   0 0 - - - - - - -(un 3+) 4-3-5- 5-3-7- 6-3-9-
(4567)    0 0 1 - - - - - - 6+2+4+ 7+1+4+ 5+4+6+ 6+4+8+
(567)     0 0 1 0 - - - - -(un 6+) 9-3-6- 7-6-8-
(975)     0 0 1 0 - 1 - - -(un 9-)
(75)      0 0 1 0 - 1 - - 0(un 7+) 8-6-7- 8-7-9-
(85)      0 0 1 0 - 1 1 - 0(un 8-)
(5)       0 0 1 0 - 1 1 0 0(un 5+5-) 5-3-4- 5-4-6- 6-4-8-
(69785)   0 0 1 1 - - - - -(un 5-) 4+5+6+ 8+2+5+ 9+1+5+ 
                                   6+5+7+ 7+5+9+
(6978)    0 0 1 1 0 - - - -(un 9+) 6-3-9-
3行目の2番目の項はTAOCPのと違う. もちろん向こうが違っている. クヌース先生には連絡済みだ.

2015年7月2日木曜日

SATソルバ

アルゴリズムBでLangford(3)を実行したのが次だ.

Langford(3)だから, 1,2,3を2個ずつ, 例えば323121のように並べる. 但し2個のnの間には他の数がn個なければならないという制限があるから, 先ほどのは駄目で, 231213がひとつの解である.

このくらいならちょっとやっただけで出来るが, 長くなる(nが増える)と大事だ.

TAOCPでの方法はこうだ. まずこういう表を作る.


1行目 1を1番と3番に置く. 間隔は1だ. 2行目 1を2番と4番に置く. ...

5行目 2を1番と4番に置く. ...

8行目 3を1番と5番に置く.

3を2番と6番に置くというのもありだが, 対称だから8行目だけにする.

表が出来たらd1の列に1のあるxjから1つ選ぶ. つまりx1, x2, x3, x4から1つ選ぶ. d2からもx5, x6, x7から1つ選ぶ. これをs6の列まで行う.

1つ選ぶ式をTAOCPではS1と表記するから, この関係は

の式になり, S1の展開式を当てはめると, SAT


が得られる. 2-4-, 1-3- が重複しているからそれを除き, リテラルの内部表現にすると
(define sat '((2 4 6 8) (3 5) (3 7) (3 9) (5 7) (5 9) (7 9)
(10 12 14) (11 13) (11 15) (13 15) (16) 
(2 10 16) (3 11) (3 17) (11 17) (4 12) (5 13) (2 6 14) (3 15)
 (7 15) 
(4 8 10) (5 11) (9 11) (6 12 16) (7 13) (7 17) (13 17) (8 14)
 (9 15)))
となる. 従って
(define ls '(9 15 8 14 13 17 7 17 7 13 6 12 16 9 11 5 11 4 8 
10 7 15 3 15 2 6 14 5 13 4 12 11 17 3 17 3 11 2 10 16 16 13
 15 11 15 11 13 10 12 14 7 9 5 9 5 7 3 9 3 7 3 5 2 4 6 8))
前回と同様にsatの先頭だけとると, sが
(0 2 3 3 3 5 5 7 10 11 11 13 16 2 3 3 11 4 5 2 3 7 4 5 9 
 6 7 7 13 8 9)
になり, zも作れ, wやlinkも得られる.
((0) () (19 13 1) (20 15 14 4 3 2) (22 17) (23 18 6 5) 
(25) (27 26 21 7) (29) (30 24) (8) (16 10 9) () (28 11) 
() () (12) ())

ws=
(0 0 1 2 17 5 25 7 29 24 8 9 0 11 0 0 12 0)

link=
(0 13 3 4 14 6 18 21 0 10 16 28 0 19 15 20 0 22 23 0 0 26 0 0
 30 0 27 0 0 0 0)
節の長さがばらばらだから, STARTも作らなければならない.
(define a (map length sat))
a => (4 2 2 2 2 2 2 3 2 2 2 1 3 2 2 2 2 2 3 2 2 3 2 2 3 2
 2 2 2 2)

(define (ac ls)
 (if (null? ls) '(0)
  (let ((a (ac (cdr ls))))
    (cons (+ (car ls) (car a)) a))))

(define start (ac a))
start =>
(66 62 60 58 56 54 52 50 47 45 43 41 40 37 35 33 31 29 27 24
 22 20 17 15 13 10 8 6 4 2 0))
これで準備が完了し, アルゴリズムBを実行すると01000011が得られ, x2,x7,x8を取るのが解と分かり, 泰山鳴動の一幕であった.

2015年7月1日水曜日

SATソルバ

TAOCP 7.2.2.2にあるSATソルバのうち, 今回はAlgorithm 7222Bの話である.

これも結構難しかった. 演習問題128の解答の(7)の式の初期値が頼りであった.

Algorithm Aに較べると, F, B, C, SIZEの配列はなくなり, 代わりにWとLINKが新たに出来た.

SATの問題では, リテラルは節のいろいろな位置に現れるが, このアルゴリズムでは, 節の先頭に現れるものだけについて初期値に設定する. Wはそれぞれのリテラルについて, 最初に現れた節の番号を示す. どの先頭にも現れなければ, 終という意味で0を入れる.

同じリテラルが複数の節の先頭に現れた時は, 続きをLINKで示す. 具体的には下の例を見てほしい.

7.2.2.2の初めの方にSimple Exampleというのがある. 8ビットのx1...x8で3個の0の間隔が等しくなく, 3個の1の間隔も等しくないものを探せというのである.

すぐ下に9ビットの場合のSATの式があるから, それの8ビット版を書けばよいわけで, 実装に適した私流の記法では

1+2+3+,2+3+4+,3+4+5+,4+5+6+,5+6+7+,6+7+8+,
1+3+5+,2+4+6+,3+5+7+,4+6+8+,
1+4+7+,2+5+8+,
1-2-3-,2-3-4-,3-4-5-,4-5-6-,5-6-7-,6-7-8-,
1-3-5-,2-4-6-,3-5-7-,4-6-8-,
1-4-7-,2-5-8-,
つまり8変数, 24節になる. (n=8, m=24)

これをリテラルの内部表現にすると
(define n 8)

(define sat '
((2 4 6) (4 6 8) (6 8 10) (8 10 12) (10 12 14) (12 14 16) 
(2 6 10) (4 8 12) (6 10 14) (8 12 16) (2 8 14) (4 10 16) 
(3 5 7) (5 7 9) (7 9 11) (9 11 13) (11 13 15) (13 15 17) 
(3 7 11) (5 9 13) (7 11 15) (9 13 17) (3 9 15) (5 11 17)))

(define m (length sat)) => 24
配列Lはこれをreverseし, appendしたものである.

先頭の節を1番として, 2から17までのリテラルがどの節の先頭に現れるかをみると (listは0から始まるのでダミーの0をconsしてある)

(define s (cons 0 (map car sat)))
=>
(0 2 4 6 8 10 12 2 4 6 8 2 4 3 5 7 9 11 13 3 5 7 9 3 5)
リテラル2は1番の節に, 4は3番の節に現れる. リテラル l が現れる節番号のリストを l 番目にもつリストzを作る.
(define z (map (lambda (x) '()) (a2b 0 (+ (* n 2) 2))))

z => (() () () () () () () () () () () () () () () () () ())

(for-each (lambda (x y)
 (list-set! z x (cons y (list-ref z x)))) s (a2b 0 (+ m 1)))

z=>
((0) () (11 7 1) (23 19 13) (12 8 2) (24 20 14) (9 3) (21 15)
 (10 4) (22 16) (5) (17) (6) (18) () () () ())
リテラル2は1,7,11の節に, リテラル3は13,19,23の節に現れるということだ. これからWとLINKを作る.
(define ws (map (lambda (x) 0) (a2b 0 (+ (* 2 n) 2))))

(for-each (lambda (x y) 
(if (not (null? x)) (list-set! ws y (car (reverse x)))))
 z (a2b 0 (+ (* 2 n) 2)))

ws => (0 0 1 13 2 14 3 15 4 16 5 17 6 18 0 0 0 0)

(define link (map (lambda (x) 0) (a2b 0 (+ m 1))))

(for-each (lambda (x) (let ((t 0))
(map (lambda (y) (list-set! link y t) (set! t y)) x))) z)

link =>
(0 7 8 9 10 0 0 11 12 0 0 0 0 19 20 21 22 0 0 23 24 0 0 0 0)
この解は00110011, 01011010,01100110,10011001,10100101,11001100だが, このアルゴリズムは最初の解(00110011)しか返さない.
(define (algorithm7222b)
(define (and1 n) (if (even? n) 0 1))
;1とのandをとる
(define (xor1 n) ((if (even? n) + -) n 1))
;1とのxorをとる. リテラルの正負を反転する
(define (rsh1 n) (fix:lsh n -1))
;1ビット右シフトする
(define (? b) (if b 1 0))
;iverson notation [b]=b?1:0

;simple example
(define n 8) (define m 24)
(define sat '
((2 4 6) (4 6 8) (6 8 10) (8 10 12) (10 12 14) (12 14 16) 
(2 6 10) (4 8 12) (6 10 14) (8 12 16) (2 8 14) (4 10 16) 
(3 5 7) (5 7 9) (7 9 11) (9 11 13) (11 13 15) (13 15 17) 
(3 7 11) (5 9 13) (7 11 15) (9 13 17) (3 9 15) (5 11 17)))
(define ls (apply append (reverse sat)))
(define ws '(0 0 1 13 2 14 3 15 4 16 5 17 6 18 0 0 0 0))
(define link '(0 7 8 9 10 0 0 11 12 0 0 0 0 19 20 21 22 0 0 
 23 24 0 0 0 0))
(define start '(72 69 66 63 60 57 54 51 48 45 42 39 36 33 30
 27 24 21 18 15 12 9 6 3 0))
(define ms '(0 0 0 0 0 0 0 0 0))

(define d 0) (define j 0) (define i 0) (define i1 0)
(define j1 0) (define k 0) (define l 0) (define l1 0)

(call-with-current-continuation
 (lambda (exit)

(define (b1) (set! d 1) (b2))
(define (b2) 
 (if (> d n) (begin (do ((d 1 (+ d 1))) ((> d n))
  (display (xor1 (and1 (list-ref ms d))))) (exit 'ok))
 (begin (list-set! ms d (? (or (= (list-ref ws (* 2 d)) 0)
  (not (= (list-ref ws (+ (* 2 d) 1)) 0))))) 
 (set! l (+ (* 2 d) (list-ref ms d))) 
 (b3))))

(define (b3kloop)
 (cond ((= k i1) (list-set! ws (xor1 l) j) (b5))
  ((< k i1) 
  (set! l1 (list-ref ls k))
  (if (or (> (rsh1 l1) d)
    (even? (+ l1 (list-ref ms (rsh1 l1)))))
   (begin
    (list-set! ls i l1)
    (list-set! ls k (xor1 l))
    (list-set! link j (list-ref ws l1))
    (list-set! ws l1 j)
    (set! j j1))
  (begin (set! k (+ k 1)) (b3kloop))))))

(define (b3jloop)
 (if (not (= j 0)) (begin 
  (set! i (list-ref start j))
  (set! i1 (list-ref start (- j 1)))
  (set! j1 (list-ref link j))
  (set! k (+ i 1))
  (b3kloop)
  (b3jloop))))

(define (b3)
 (set! j (list-ref ws (xor1 l)))
 (b3jloop)
 (b4))

(define (b4)
 (list-set! ws (xor1 l) 0)
 (set! d (+ d 1))
 (b2))

(define (b5)
 (if (< (list-ref ms d) 2) (begin
  (list-set! ms d (- 3 (list-ref ms d)))
  (set! l (+ (* 2 d) (and1 (list-ref ms d)))) 
  (b3))
 (b6)))

(define (b6)
 (if (= d 1) (exit "unsatisfiable")
  (begin (set! d (- d 1)) (b5))))

(b1)))

(algorithm7222b) => 00110011
他の実行例については次回にでも.