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2017年3月30日木曜日

地図のミウラ折り

ミウラ折りの地図が疊まれていく様子は一見なんとも不思議である. 今回はそれを検討した結果を書いてみたい.

下の図は1個の区画が折れ曲るところを描いたもので, 立体座標x,y,zを図のように設定する. 地図の1区画はABCDの形で, ABが前のブログの図の横方向の折り線, ADが左右に少しずつ屈折する縦方向の折り線である. 中の図で見るように∠BADをγとする. (γは鋭角である.)

上は区画が水平面(xy面)内にある場合で, 辺ABはx軸に接している. 辺ADとx軸の角をβとする. 今はβ=γである. これから辺ABをAを中心として時計回りにxz面内に回転し(ADで山折りにし), 辺ABとx軸の角をαということにすると, 今はα=0である.

辺ABを, xz面内で回転している途中が中の図である. αは50°になったところだ. 縦の折り線は山折り同士, 谷折り同士高さが揃っているから, 辺ADはxy面内を回転する. γは一定だから, βは徐々の縮小していき, 図のような形になる.

さらにBを下へ回していくと, Dはますますx軸へ接近し, αが区画の角度γに等しくなった時に, 辺ADはx軸に重なる(βが0になる). それが下の図である.

この区画以外の最初に水平面にあったどの区画も, この図のようにxz面内に収まってしまう.

αが増えるにつれ, βの減る様子は, γが一定だから, α, β, γの関係から分るわけだ.

原点に立つ2個のベクトル(a0,a1,a2)と(b0,b1,b2)のなす角θは

cosθ=(a0×b0+a1×b1+ a2×b2)/(√(a02+a12+a22) √(b02+b12+b22))

で得られる. 上の図でいえば, ABとADの作る面積を考えればよい.

AB=l, AD=sとすると,

a0=l cosα, a1=0 ,a2=l sinα, b0=0, b1= l cosβ ,b2=s sinα

だから

cos γ=(l cos α s cos β)/(l s)= cos α cos β

β = cos-1 (cos γ/cos α)

γが84°の時のαとβの関係は次のようだ.

以上は1区画であったが, 隣接の区画を追加し, 3×3の区画での動きを描いたのが次の図である. 区画の境界点に0から15まで番号をつけた. また山折り谷折りの色もつけた. 地図の周囲は黒で描いてあるが, 縦の境界は地図の中と同様に曲げてある.

上はα=0で, 縦線が屈折しているから平面と見るのは難しいが, 全体は平面である.

中と下はαが53°と83.7°(γになる直前)に対応するものである.

さらに隠面消去したのが次の図である. 境界点の番号は残してある.

私はこれで疊まれ方が理解できたが, どうであろうか. この3×3を疊む動画がhttp://www.iijlab.net/~ew/miurafig.htmlに置いてある.

2017年3月11日土曜日

地図のミウラ折り

ミウラ折りをした時の出来上がりの大きさは次のように計算出来る.

図の下寄りの横長の長方形が, 元の紙の最上段である. この下に続く横長の部分は, 山折り谷折りの繰り返しで, この裏にぴったりと隠れてしまい, この部分と一緒に折られていくから, 出来上がりの大きさには関係しない.

前回のこのブログの最初の図で, 95, 85, 92,...などと数値で長さが記入してあるのが, この図ではa, b, c,...と文字にしてある. 上下の縁や折り目には, 左から0, 1, ..., 7と番号をつける.

ダッシュが付いている番号は, 折る前の位置を示す.

左端から見ていくと, 最初の折り目1-1までの長さが上下で違うから, この折り目は傾く. その傾きをθとする.

θ=tan-1(a-b)/c

である. するとこの折り目と下の縁との角は, 左が∠R+θ, 右が∠R-θである.

次の折り目, 2'-2'は, 折り目1-1で折り返すと, 2-2の位置へ来る. この時, 下の012の角は, 2θになる. 下の2と下の1との横方向, 縦方向の差を図のようにe, fとすると, 1,2の長さをdとして,

e=d cos 2θ
f=d sin 2θ

である. 従って, 下の2の位置は, 下の0を原点とすると,

(b-e, f )

これに横方向のdを足すと3の位置が得られ, 横方向からeを引き, 縦方向にfを足すと4が得られる. 以後この作業を繰り返し, 最後は横方向にaを足す. 上の縁の座標も同様にして得られる.

まとめると

θ=tan-1(a-b)/c,
e=d cos 2θ
f=d sin 2θ

上の座標
0 0, c
1 a, c
2 a-e, c+f
3 a-e+d, c+f
4 a-2e+d, c+2f
5 a-2e+2d, c+2f
6 a-3e+2d, c+3f
7 a-3e+2d+b, c+3f
下の座標
0 0, 0
1 b, 0
2 b-e, f
3 b-e+d, f
4 b-2e+d, 2f
5 b-2e+2d, 2f
6 b-3e+2d, 3f
7 b-3e+2d+a, 3f

前回の地図の値をいれて計算すると

(define a 95) (define b 85) (define c 92)
(define d 80) (define theta (atan (/ (- a b) c)))
(define e (* d (cos (* 2 theta))))
(define f (* d (sin (* 2 theta))))
(+ a (* -3 e) (* 2 d) b) => 105.60485754320413
(+ c (* 3 f)) => 143.56468939747782
ところで近所の体育館で下のような大宮アルディージャの選手名鑑みたいなものを貰った. やや! これはミウラ折りではないか? 山折り谷折りの関係もそっくりである.

しかしこれは上の図のθが0になっている. 従って上の図の横から見た時, 2,4,6が同一点になり, ミウラ折りとは似てはいるが, ミウラ折りではない.

前回の後, もう1枚の地形図をミウラ折りにした.

今回, 山折りのところは, 裏面にも折り目を記入して, 裏から谷折りにしたが, やはり手間は増えた. もう少し能率のよい方法はないだろうか.

2017年3月5日日曜日

地図のミウラ折り

ミウラ折りという言葉も知っていたし, 三浦さんに会ったこともあるが, 実際にミウラ折りを折ってみたのは, 最近のことだ.

この度, 国土地理院の地図をミウラ折りしてみたくて, 関連するページを探したら, こういうページ があり, これは正に国土地理院の地形図の大きさ(縦460ミリ, 横580ミリ)に基づいていた. (この種の地図の大きさは昔から殆どかわらず, 私が昭和25年頃に買った地理調査所の地図も同じである. ただこれは紙の大きさで, 地図自体の大きさは, 昔は縦が緯度10分, 横が経度15分であった.)

もとの図は見難いので, 私が書き直した図は次のようだ. (単位はミリ)

下側の図が折り線で, 赤が山折り, 青が谷折りである. 左上の青四角は, 地図の図幅名の場所である.

この図の折り方では, 私の計算では, 疊んだときの寸法が, 縦143.6ミリ, 横105.6ミリになる.

ところでミウラ折りの説明を見ると, 紙を横長に折り, それを傾けながら折り, 山折り谷折りを調整して作るとあるが, 紙を重ねて折ると正確には折れないから, 工夫が必要である.

以下私が今回使った方法を紹介しよう.

まず地図の上に, 後で消せるように鉛筆で上の図の折り線を書き込む.

つぎにこの線に沿って折るわけだが, 山折りは紙の下に木片をいれ, その角を折り線に合せて折り目を付ける. 谷折りは定規を線に合せて, 紙を上に曲げて折り目を付ける.

こうして出来たミウラ折りの地図がこれだ. 下にあるのは, 折り目をつけるのに使った木片と, その上に乗った定規である.

今回, この方法でやってみたところ, 木片の稜を使って山折りの折り目をつけるのは, 下が見えないので, 結構時間がかかった. 一方, 定規による谷折りの線を付けるのは簡単で, 地図を裏返して, 表の折り線が透過するような環境で, 裏から谷折りにするのがいいのではないかと思っている.

また最初の折り線を記入するのも, 正確にするため, ドラフタでも使いたいところである.