2014年7月23日水曜日

曜日の計算

前回のブログで島内先生の計算尺方式の万年七曜表を話題とした.

余談ながら現在東京理科大学の近代科学資料館で開催中の企画展「計算する器械たち---アナログコンピュータ展」には 円筒形の計算尺も展示されている. 今回はそういう円筒方式の万年七曜表の話だ.

下の図を見てほしい. ちょっと分り難いがこれが円筒式のもの(展開図ともいうべきもの)だ.



前回のブログを見た人なら思い出すだろうが, 最上段の右から0,1,...,15 少しあけて15,16,...,20とあるのは西暦の上2桁である. 右側の15まではユリウス暦, 左側の15からはグレゴリオ暦用のものだ.

その下, 5段位に左下がりに並ぶのは西暦の下2桁である. 段々と下るのは円筒の卷いたとき, 21に22を自然に繋げるためである. なかなか凝っている(次の図を見ると分る). 44は丁度切れ目になってしまった.

次は2, 8, 5,...と現れて, 4と7が重さなっているから, これは月名である. 展開図の範囲に4回出てくる.

最後は, 今度は右下がりだが, これは一箇月のカレンダーである.

もうひとつ青色の枠の図がある. 週日名が書いてあるほか. 枠の所が3カ所くり抜いてある.

島内さんの記事では, 西暦上2桁と月名が1枚の紙でCといい, 下2桁とカレンダーがもう1枚の紙でBといい, 青色の枠の紙はAである. 同じ幅に描いてあるが, A,B,Cの順の幅がすこしずつ短くなり, Aが一番外側, Bが真中. Cが内側でそれぞれ円筒状になって外中内の順で差し込まれている.

勿論底の場所は同じで, 展開図では左右に移動するように, 円筒は回転できる.

前回の例と同様に2014年7月の曜日を見るには,



のようにCの20の真下にBの14を合せる. そしてCの7月がAの月名を入れる青色の小さい枠に入るように合せると, 図のように青色の大きい枠がカレンダー部分に重さなり, 7月1日が火曜と判明するのである.

この図では, Bの紙が円筒になっているのが見えるであろう.

難しいのは例の丸めのところである. この図でも青色枠内の4と7が枠の左右の中央にないのが見てとれる. 4と7の中央は1.125という位置にあり, 枠の中央が1なのである. どこか中央かは, 下のカレンダー部分の枠の左右がカレンダーの数字の丁度真中に來るように離散的に合せることで分るのだ.

もうひとつの例



この例は2000年1月で, 閏年であり, 1月, 4月, 7月が同じ曜日の配置になる(Aの同じ枠に入る)ことが見てとれる.

さてこの計算尺の仕掛けの説明だが, mod 7の範囲だけの図にしたのが次だ.



最上段の線が西暦の上, その下の線が西暦の下で, 2014年になるようにその20と14を対応させた図になっている. つまりBの紙が右に移動している. (輪だから左かもしれない.) 移動していることを示すため赤で描いてある.

その下の線が月名で, これは最上段と同じ紙, 同じ位置にある.

さて赤の線の基準に対して7月の位置を計算すると, g(14)とf(20)が合っているから, 黒の基準位置はg(14)-f(20). 従って7月の位置はg(14)-f(20)+b(7). ところがfのスケールは反対に取ってあるから, g(14)+f(20)+b(7)になって, 実際の値を入れると
17+5.875+6.25=29.125=1.125 mod 7
従ってこれを丸め, 7月0日の値が1. すなわち7月1日は2(火曜)となる.

7月のすぐ右に9月がある. だから9月0日の値は0, 9月1日は1(月曜)だ.

従って青色の枠は下のように作ればよい.



上の小さい枠に7月があると, その1日は火曜. 上の枠がひとつ右に移ると, 曜日の名前が右にひとつずれて, 9月1日が月曜になるという仕掛である.

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