このどっしりした機械を, 例えば前回のブログにあったような, 解析したい図形の上に置く. 枠の横に長い方をx軸に平行にする. この枠は3個の車輪で支えられている. 1個は手前中央に見える幅広のD. 残りの2個は枠の内側の両端でE. これらの車軸がx軸と平行なので, この枠はy方向にしか動かない.
枠を前後に動かすと, Eが回転し, 2個のEを繋ぐシャフトも回転し, 中央に上半分が見える車輪Cもy方向の移動距離に比例した分回転する.
車輪Cの真上に上下方向の回転軸があり, その下に枠に収まった球のようなものが見える. この球は下の車輪に接していて, やはりx軸と平行な軸で回転する. その球を支えている枠は, 上下方向の回転軸と同時に球の周囲を回転出来る.
回転させるのは, 回転軸の上に見えるプーリーHとそれに接するワイヤーである.
大きい枠の左には, ワイヤーがついていて左右に動きそうな枠Wが見える. この枠の手前の下にFなるポインターがあり, このポインターで関数の曲線を左から右に追跡するのである.
関数曲線の上下で枠全体が前後に動きながら, ポインターで右方向へ追跡すると, ワイヤーが動き, 従ってプーリーも回転して, 球を支える枠も回転する仕掛けである.
さて下の図が球を支える枠の構造だ.
中央のSが球で, yの矢印は枠がy方向に動くときに球が回転する方向を示す. xはポインターが右へ, つまりx方向へ移動すると枠が回転する方向を示す.
球にはこの図で見るように, 下と左に球の回転量を計る距離計のようなものが接している(この辺がいちおう面積計っぽいところだ).
この図のような位置で球が前後方向へ回転すると, 下の距離計は積算するが, 左のは動かない.
しかしプーリーの回転に従って枠も時計廻りにθだけ回転すると, 下の距離計はyの回転量のcos(θ)倍を計測し, 左のはsin(θ)倍を計測するようになる.
この枠はxが0から2πまで移動するときに丁度1回転するようになっている.
したがって下の距離計の積算は∫cos(θ)dy, 左の距離計は∫sin(θ)dy になり, それぞれB1, -A1に関係する値が得られる.
プーリーの直径を変えると, 枠の回転は2倍にも3倍にもなり, ほかの係数も求めることができる.
なんか不思議な機構だが, プログラムでシミュレートしてみた. お馴染のf=A1 cos(θ)+A2 cos(2θ)+B1 sin(θ)+B2 sin(2θ) である.
下の図は黒線がfを表す. 枠を2πで1回転したとき, つまりn=1の時の下の距離計の値をB1(青), 左のをA1(赤)で示す. またn=2の時, 下のをB2(緑), 左のをA2(橙)で示す.
単一の三角関数の場合もやってみると下のようになる. f=A1cos(θ), A1=1 がこれだ.
f=B2 sin(2θ), B2=1も示す.
振幅0に対応する距離計は最後に0になり, それ以外の距離計は係数に従った値が読み取れることが分る.
ソナグラフの存在しないころ, この解析器で音響の周波数解析をした人がいたらしい.
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