2011年8月11日木曜日

多面体描画道楽

立方体は正方形6枚で出来ている. 正方形は1つの内角が90度. 従って正方形全体で内角の和は360度. それがF=6枚あるから, 2160度, つまり12π(パイ)になる.



一方頂点の数Vは8. それに対して内角の総和は(2V-4)π=12πという関係をEulerは知っていたらしい.

別の例. 正十二面体は正五角形がF=12枚. 頂点はHamilton世界巡礼でお馴染のV=20. 正五角形の内角は108度. 従って内角の総和は, 108*5*12=6480. 6480/180=36(π). 2V-4も36だ.

さらに2種類の面のある, 切頭二十面体(サッカーボール)は, 正五角形が12, 正六角形が20, 頂点は60. 内角の総和は, 108*5*12+120*6*20=20880, 20880/180=116. 2*60-4=116となる.

こう考えてみた.

Eulerの式に, 面の数F, 辺の数E, 頂点の数Vとすると, F+V=E+2という有名なのがある.

いま, ある多面体がn1角形, n2角形,...,nF角形のFの面で出来ていたとする.

n角形の内角の和は(n-2)πであったから, 計算したい内角の総和Sは
S=(n1-2)π+(n2-2)π+...+(nF-2)π=(n1+n2+...+nF)π-2Fπ.

一方, この多面体の辺の数を計算すると, 各多角形の辺は2回ずつ寄与しているから, E=(n1+n2+...+nF)/2.

従って, n1+n2+...+nF=2E. これをSの式に入れると,

S=2Eπ-2Fπ. Eulerの式から, E-F=V-2.

ゆえにS=2(V-2)π.

なるほど.

また, Descartesの定理というのもある.



左下は, 正四面体の頂点は, 正三角形が3個集まっていて, その内角の和が, 360度より足りない度合い(deficiency)が180度であることを示す. 正四面体には頂点が4個あるから,deficiencyの総和は720度. 4πである.

これを他の正多面体でやって見ると, やはり, どれも720度になるのである.

サッカーボールではどうか.

この図のように, 120度, 120度, 108度に挟まれた角は12度. それが60個あるから, やはり720度である.




Eulerの方は, サッカーボールの図でいうと, 348度の方を総和している. 60倍すれば先ほどの20880度になる.

V個のradianで表わしたdeficiencyをd1, d2,...,dVとする.

Eulerの方の内角の和は, (2π-d1)+(2π-d2)+...(2π-dV)
=2πV-(d1+d2+...+dV) と足す.

これが2(V-2)πだったから, d1+d2+...+dV=2πV-2(V-2)π=4π.

これもなるほどであった.

正多面体では, 面の数の順に正四面体, 立方体(正六面体), 正八面体, 正十二面体, 正二十面体と並べる. 正四面体の頂点は尖っているから, あとに行くほど丸くなるかと思うのは誤解であって, 正八面体も正二十面体も結構尖っている. それは正八面体は立方体より, 正二十面体は正十二面体よりも, deficiencyが大きく, 頂点の数が少ないためであろう.

サッカーボールがよく転がるのは, deficiencyが12度で, V=60もあるからである.

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