機械式の微分解析機では, 変数同士の乗算は, 積分機を2台と加算でするのだと思っていた. ところが図面に乗算卓というのがあり, 積分をせずとも乗算しているらしかった.
幾何学での乗算法はよく知られている.
点Pから半直線を引き, PA=a, PB=bとなる点A, Bをその上に取る. またPから別の半直線を引き, PC=1の点Cを取る. A,B,Cを通る円Oを描き, PCの延長上で円との交点をDとするとPDの長さxがa*bになっている.
これは方冪の定理による. その説明が次の図である.
PO2-AO2を考える. 正三角形POMでPythagorasの定理を使うと
PO2=PM2+OM2
同様に
AO2=AM2+OM2
辺々相引くと
PO2-AO2=PM2-AM2=(PM-AM)*(PM+AM)=PA*PB
つまりまえの図のPA*PB=a*b=PO2-AO2
=PO2-半径2=一定
である.
しかし微分解析機でこれをやっているか疑問であった. ところである文献に微分解析機の使い方の説明があり, 乗算卓の記号が下の図のようになっていた.
元々の記号に赤や青の色はない.
微分解析機からs, t, xの3本の軸で接続されている, s*t=xと出力が出るらしい.
x軸の右にはハンドルのような絵がある. そこで考えてみて, こうなっていると推測した. t軸が廻転すると, 軸に接続されている赤色のT型の足が円の中心を軸に振れる. 一方s軸の廻転で青い棒が左右に移動する. オペレータはハンドルを廻し, 青軸上のカーソルを赤線の上に保つのである. そのハンドルの廻転がx軸で出力される.
その説明が次の図だ.
円の中心がAの点である. tもsもAから左右に計測する. tが増えるとB点は左へ移動し, ABと直角についている腕, ADも一緒に廻転する. EDの長さをxとすると, 三角形ABCと三角形ADEは相似であり, ACの長さを1とすると, 1/t=s/x 従ってx=s*t である.
そういう乗算卓を使っていたとは面白い.
2009年12月21日月曜日
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